運の強い娘

テレビに出ていた少し有名な占い師の元へ、芸能人が行きました。

「有名になりたいんだけど、誰かの運を取れない?」

 

占い師は

「わかりました。では、運の強い娘を見つけてその子の運が下がることをしてやりなさい。そしたらあなたの運が上がるようにお札を作っておきます。」

 

その芸能人は、喜んで帰った後に運の強い娘を見つけて、あらゆる手段を使ってその運の強い娘の人生を狂わせました。

 

それから数年後、運の強い娘は、人生を立て直して夜の水商売をしていました。

様々なお客様が来ていたのですが、偶然にもその娘の人生を狂わせた

芸能人を占った占い師もお客様の一人でした。

 

そして、その占い師と話をしている時にこんな話を聞きました。

「数年前に、変な芸能人が来てね。運を取りたいって言って来たんだよ。

 人の運を取れるって思いこんでいる人がいるから、

 こっちは商売が成り立つんだけどさ。

 でも、一瞬その芸能人は売れたわけ!なんでかっていうと、たまたまその年の

 星周りが良かったからなんだけど、その時に自分が運良くなるために

 人の運を悪くしちゃったもんだから、その後その芸能人、

 全然売れなくなっちゃって、ついには大きな病気もしちゃったの!

 やっぱり、駄目だよね~!人に悪いことしちゃ!!

 自分が運が上がるように努力しろっつーの!」

 

 あ、そういえば貴女、数年前に一回災難なこと続いたでしょ?

 あれはね、たまたまその時にその星周りだったから、悪い巡り合わせや縁を

 結んだけど、あの時に自分が不幸だからって、人を恨んだり、性根腐らせたり、

 その芸能人みたいに人を不幸にしなかったでしょ?

 代わりに色んな人や動物を助けたりしてたじゃない???

 

 だからこれからは良い事がずーっと起き続けるよ。

 だって、貴女は運が強いんだから!」

 

 運の強い娘は言いました。

 

 「私は過去数年間に起きたことは、その少し前に別の占い師に人生の冬の時期に

  起こることを言われていたので、こうなる事は知っていました。

  でも、悪い事だけが起こると思っていたのに、なぜか

  代わりにどんなお金持ちでも手に入れることが出来ない能力や

  健康・若さを手に入れることができました。

  

  そして、誰かに陰から何かされている事も知っていました。

  でも、人生の冬の時期には、避けられない試練があるので、

  たまたま

  その人だっただけで、もしその人がしなくても

  別の人からされていたと思います。

 

  どちらにしても相手は不幸にしたと思って満足していたようですが、

 

  私はこの人生の冬の時期には不幸にならなければ数年後にまたその時期が

  来た時にはもっと大きな不幸が待ち受けていました。

  でも、私が本来生きている内には起きるはずがないくらいの

  大きな不幸を贈られたので、これからしばらく来世も含めて

  幸せが起き続けることを確信しており、陰から何かしてきた相手に

  感謝しております。

 

  逆に、今度は人を不幸にした人達が冬の時期に入ることで

  自分達がした事が返ってくる時に、また人を恨んだり、人を不幸にしたりと

  さらに悪循環を生まないように陰から祈っておこうと思います。」

 

 占い師は、彼女の後ろのほうを見ながら言いました。

 

  「しかし、あの大変な時期にお遍路さんに行って日本の幸せ祈ったり、

   どんなに金銭面で大変でも他の人によくしてあげたり頑張ったよねー。

  

   お遍路さんに行ったからか、どんな神様に護られているのかしらないけど、

   ご先祖様なのか、守護神も強いよねー。

   本当に貴女に何かした人が後で色んな事が起きてるのが不思議よねー。」

 

  娘はケラケラ笑いながら答えました。

 

 「私も、いっつも護られている感じがするんですよ。何かに。

  人も感じるし、人以外の何かに護られていて操られている感じもするんですけど

  洗脳とか、嫌な感じの操られ方じゃなくって、

  温かい心地良い感じなんです。みんながこういうのに気付いたらいいのにって

  くらい、安心感のある存在です。」